秋田醸造株式会社

秋田県秋田市楢山登町5-2
煌くような綺麗な酸と甘味が優雅に舞い、肌理の細やかな白肌の秋田美人を思わせる酒 「ゆきの美人」

美しい女性が多いことで有名な秋田県は、美酒の宝庫としても良く知られていますが、なかでもそのイメージを如実に反映した酒名なのが「ゆきの美人」です。
降り積もる雪に磨かれた空気と水に育まれ、その名に違わぬ綺麗で軽快な酒質が一躍注目を浴び、今では秋田の先導的醸造家集団「NEXT FIVE」の一角を占める人気を博しています。

しかしながら御多分に漏れずここまでの道のりは決して平坦なものではなく、平成11年頃までは地元消費中心の普通酒主体の酒蔵でした。
2001年(平成13年)にマンション併設の超近代的な酒蔵に建て替え、自社ブランドの確立を目指したものの、思い描いた通りの酒が醸せるようになるまで試行錯誤の連続だったと、蔵元杜氏の小林忠彦さんは言います。
中央大学で機械工学を学んだ異色の経歴を持つ小林さんは、蔵の建て替えに当たって、最新の醸造機器と空調設備を整え、200坪とコンパクトながら四季醸造も可能な最新鋭の酒蔵へ生まれ変わったのを契機に、少量生産に徹した高品質な酒造りへと大きなシフトチェンジを試みることにしたのです。
ところが前杜氏との意見が合わず、理想とする酒が出来ないジレンマから、自ら秋田県醸造試験場で修業を積み、平成16醸造年度より蔵元兼杜氏に就任。
手をかけるべきところはしっかりと手をかけた手造りとし、酒の品質管理に威力を発揮する近代的な醸造設備をフルに活用する、機械工学を学んだ蔵元ならではの合理性と小仕込みに徹した丁寧な酒造工程の融合が今の「ゆきの美人」という酒だといっても過言ではないでしょう。

万全の品質管理によって、常にフレッシュで生き生きとした張りのある酒質が維持でき、滑らかさと旨味のある綺麗な酸が「ゆきの美人」の個性を際立たせます。洗練味を感じる爽やかさとほのかな米の甘みを湛えた味わいの上質感は、ゆきの美人のどの種類を飲んでも感じられる一貫的なもの。
華やかでインパクトの強い酒が人気を博す中で、控えめながらも記憶に残る酒、それが「ゆきの美人」という酒なのです。

「ゆきの美人」旨さの秘訣を探るべく、蔵訪問を敢行した時のこと。予備知識として知ってはいても、初めて蔵の前に降り立った時、目の前にそびえる高級マンションにやはり面喰いました。
「いったいここのどこで酒造りが行われているというのか…。」そんな思いで蔵の入口を探して横道に入ると、ようやく現れた蔵の玄関もおよそ酒蔵らしからぬ佇まい。
しかしその内部は、規模は小さいものの他の酒蔵が羨むような立派な醸造設備が整い、良い酒を醸すために必要なことが、ひとつひとつ丁寧にきちんと行われています。だからこそ、この若々しく綺麗な味わいを常に感じることが出来るのだと納得してしまいました。
酒蔵の未来形をある意味体現している秋田醸造。これからがますます楽しみです。



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