第19回中村酒店酒の会

地酒界期待のNew Face「津島屋」の魅力に迫る会

2014/11/15に開催した、地酒界期待のNew Face「津島屋」の魅力に迫る会のページです。今回はお土産がついてくる初の試み!

テーマ

19回目の中村酒店酒の会は、御代桜醸造株式会社様のブランドである津島屋の取り扱い1周年を記念して、より多くのお客様に津島屋の魅力を感じていただく会を企画しました。
津島屋はラインナップが多く、味わいの幅も広いブランドです。そのため、どのお酒がどのようなタイプなのか、自分の好みに合う商品はどれなのか、お客様が冷蔵庫の前で迷われることも…。

ということで、今回はタイプの異なる津島屋を飲み比べていただき、普段愛飲しているお酒と津島屋との関係を体感してもらうことで、これから津島屋を選ぶ際のヒントになればと思い企画しました。

お酒の種類

中村酒店では、店主が利き酒をした結果から、津島屋を大きく3つのタイプに分けて案内しています。

  • 食中酒タイプの純米系(淡麗タイプ)
  • 食中酒タイプの純米系(濃醇タイプ)
  • 華やかでフルーティーな吟醸系

今回は、まずはそれぞれのタイプを代表するお酒として、以下の3種類を利き比べていただきました。

アンケート記入後は、以下の4種類も追加して、津島屋を堪能していただきました。

今回は7種類の津島屋をお楽しみいただきましたが、この他にもご紹介できなかったお酒がありますので、お土産という形でお客様にお家でもゆっくりお飲みいただきました。

利き酒の方法

今回の利き酒では、愛飲する銘柄との比較を意識してもらうため、まず皆さんそれぞれが愛飲しているお酒の中で特に好きなお酒を1本選んで頂き、理由とともに記入していただきました。

次に3種類のお酒をA,B,Cの順でブラインドで利き酒してもらい、アンケートにそれぞれの感想、一番好みと感じたお酒の記号とその理由を記入していただきました。

当日の様子

利き酒中心の酒の会は前回に続き2回目。続けて参加していただいたお客様も多く、皆さん真剣に利き酒してくださいました。

ブラインドのお酒の種明かしでは、それぞれの味の特徴をお米や造りの違いを交えて解説。

最後は全てのお酒を開栓して、料理と共に美味しいひとときを楽しんでいただきました。

結果と考察

参加者18名の好みのお酒は、純米系が5名ずつの10名、吟醸系が8名と偏りのない結果でした。特定のタイプにだけ人気が集まることがなく、全てのタイプで皆さんに満足していただけたことは、津島屋の持つ魅力が幅広く上質であることの証左ではないかと思います。

では、それぞれのお酒についてもう少し詳細に見てみます。

A: 津島屋純米酒ひとごこち瓶囲い

(中村酒店の感想 - 食中酒向きのスッキリしたタイプ)

皆さんの感想は、「酸味がじわりと広がる」「苦味、酸味、渋みを感る」「甘みを感じる」「軽いスッキリしたお酒」「落ち着いた印象」「スッキリとしながら奥行きのあるお酒」「香りはあまりなく、キリッとかたい感じ」など、味の豊かさはあれど、すっきりと落ち着いた印象のコメントが散見されました。

この中でAのお酒を好みとした5名の方の感想を見ていくと、「酸味」と「バランス」の2点に注目出来ます。

  • 酸味
    「酸味がリンゴのよう」といった、酸に着目した感想が多く見られたのがAの特徴でした。
    このお酒を好みとした方の愛飲酒は、若波、伯楽星で、その理由に「フルーツのような酸味が良い」といったコメントがあります。スッキリとした酸で落ち着きのあるタイプが好きな方には、酸味と佇まいの点からAの津島屋に共感いただけたようです。
  • バランス
    また、「落ち着いていてゆっくり旨味を感じられる」「味わいのバランスがよい」といった食中酒向きのコメントも特徴です。このような感想を持たれた方の愛飲酒は、正雪、屋守、神亀で、その理由には「濃くても飲み飽きない」や「キレイでも華美ではなくほっとする」など、それぞれの味の特徴に違いはあれど、バランスの良さに共通点があるようでした。

中村酒店では、Aを食中酒向きのスッキリとしたタイプとして案内しており、皆さんのコメントからも同じように感じてもらえているようです。

B: 津島屋 純米酒 契約栽培山田錦 無濾過生原酒

(中村酒店の感想 - こくと甘みがあるが香りは控えめで食中向き)

皆さんの感想には、「香り強くやや甘口、少し甘みがあってワインっぽい感じコクあり」「酸味がじわり、ジューシー」「華やかな感じ、少し甘みがあり最後に苦味あり」「燗にしてみたい」などの、味の強さに言及する内容が多く見られました。

Bのお酒を好みとした5人の方の感想も同様で、旨味がポイントだったようです。

  • 旨み
    「コクが有り旨い」「ジューシー」「濃い目の味が好き」といったしっかりとした旨味を理由として挙げています。
    愛飲酒も「濃くて美味しい」「乳酸」などの濃さ、旨さを理由に、鶴齢、無風、ゆきの美人、屋守を挙げられていました。米の旨味を感じる太い印象に共感いただいたようです。

中村酒店では、Bをコクと旨味がある食中酒と考えており、皆さん同じような印象を持っていただけたようです。

今回は冷たい温度での利き酒でしたが、コメントからは燗酒に向いていると思う方も多く、この点にも注目していきたいと思います。

C: 津島屋 純米大吟醸 契約栽培米山田錦 瓶囲い

(中村酒店の感想 - フルーティで香りも良いので華やかな印象)

皆さんの感想は、「香りが華やかでスッキリしている」「香り強くフルーティー」「香りはあるが味はおとなしく、スーッと入って伸びる感じ」「飲みやすいスッキリした甘み」「まろやか」など、予想通り、香りに注目したコメントが多く見られました。また飲みやすさも特徴の一つとして見えてくる内容でした。

Cを好みとした8人の感想からは、「華やかさ」「飲みやすさ」が大きなポイントだったようです。

  • 華やかさ
    「香りが良い」「フルーティ」という感想の通り、その華やかさを理由に好まれる方は、愛飲酒も同様の傾向で、鳳凰美田や黒龍を挙げられていました。綺麗な吟醸香やフルーティーな甘みは、共通点としてはっきりと浮かび上がるようです。
  • 飲みやすさ
    「飲みやすい」「後味のスッキリ」といった感想も多く見られ、香りや味の華やかさに対して、後味の軽快さや飲みやすさを印象的に捉えた方も多かったようです。このような方は、正雪、来福、喜久醉、ゆきの美人を愛飲酒として挙げており、その理由も同様でした。

中村酒店では、Cをフルーティで華やかなお酒と案内してきましたが、その華やかさと同じくらい軽快であり飲みやすいという感想が多かった点は、興味深い結果となりました。

総括

ひとつのブランドで色々な味わいを楽しめるのはとても珍しく、参加されたみなさんもその違いに驚かれたようでした。

今回の3つのタイプのお酒にはいろいろな感想がありましたが、好みとした理由に特徴的な香りや味を挙げる一方で、飲みやすい、飲み飽きしないといったバランスの良さが、津島屋というブランドを通しての全体的な共通点だったように思います。

中村酒店では、津島屋(商品一覧)の他のお酒も味わいの特長で次のように分類できると考えています。

食中酒向きのスッキリタイプ

  • 津島屋 純米酒 信州産ひとごこち 無濾過生原酒
  • 津島屋 純米酒 信州産美山錦 瓶囲い

食中酒向きの濃醇タイプ

  • 津島屋 純米酒 播州産山田錦 無濾過生原酒
  • 津島屋 純米酒 信州産ひとごこち Elevage(生熟成)
  • 津島屋 純米酒 契約栽培山田錦(岐阜山田錦) 無濾過生原酒

華やかでフルーティーな吟醸系

  • 津島屋 純米大吟醸 播州産山田錦 無濾過生原酒
  • 津島屋 純米大吟醸 窮めの山田錦 無濾過生原酒
  • 津島屋 純米吟醸 信州産美山錦 無濾過生原酒
  • 津島屋 純米吟醸 信州産美山錦 瓶囲い

お店では、「たまにはいつもの好みと違ったお酒を試したい」とリクエストいただくことも多くあります。

普段愛飲しているお酒と全く違うタイプに挑戦するのはハードルが高いけれど、少しだけいつもとは違うタイプも試したい!というのが酒呑みの欲張りなところ。よくわかります(笑)。そんな方にはぜひ今回の酒の会の結果を踏まえて、津島屋が提供してくれる3種類「それぞれの味や香りの特徴」からご自身の好きなタイプをチョイスし、津島屋の商品全体に「共通するバランスの良さ」を楽しみながら、新しい味へトライしてみてはいかがでしょう。

津島屋は、広く深い日本酒の世界の扉を開けてくれる銘柄のひとつとしておすすめです。